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焦点(ピント、フォーカス)を合わせる

ラズパイのカメラは、焦点(ピント、フォーカス)をレンズから非常に遠いところに設定しています。遠くのものがはっきり写り、近くのものでも数メートルくらい離れていればきれいに写ります。風景を撮ったり、少し離れた人や物(被写体)を撮るのに適しています。逆に言えば、数十cm先の被写体を鮮明に撮ったり、セルフィーを撮ったり、ビデオ会議に使うような用途は考慮されていません。

試しに、被写体をレンズに近づけながら何枚か写真を撮ってみると、被写体が近づくほど焦点が合わなくなり、約50 cmの距離で被写体の細かい部分がボケている(焦点がズレている、ピンボケしている)のを認識できます。以下の写真例は、20 cmの距離で撮影したものです。距離が近すぎて写真全体がボケていて、機体の上に書かれている文字などは全く読めません。

ラズパイのカメラは安価なものなので、オートフォーカスの機能(被写体との距離に応じて自動的に焦点を移動させる機能)はありません。ただし、自分でレンズの位置を調節することで(マニュアルで)焦点を移動させることはできます。

以下、マニュアルで焦点を移動させる方法を説明しますが、細かい作業が必要となり、それ相応の道具が必要になります。難しくはありませんし、すぐに慣れてそれなりに楽しみのある作業ですが、気長にやる必要があります。初めての経験の場合、焦点を合わせて写真を撮るだけのことに20-30分かかるかもしれません。時間的・精神的余裕のある時にやらないと、カメラを壊す確率が高くなります。

まずは、レンズの円形部分(写真の赤い線の部分)の内側に、4つくらいのギザギザのついた部品があるのを確認してください。明るい照明の直下でレンズ部分を見るのがよいと思います。

このギザギザのついた部品は、ネジのように回せるようになっています。時計回りに回すと、ネジが締まる要領で、レンズが緑のボード(イメージセンサー)に近づきます。これにより、焦点の位置が遠くなります。逆に、反時計回りに回すと、ネジが緩む要領で、レンズが緑のボード(イメージセンサー)から遠くなります。これにより、焦点の位置が近くなります。被写体がカメラから近い場合は、反時計回りに回します。

レンズを回すには、カメラに付属している専用のキャップを使ってください。以下の写真の左側に写っている白くて丸い部品が専用キャップです。このキャップを、上述の「ギザギザのついた部品」にはめて回します。

専用キャップがない場合は、ピンセットやプライヤーなどを「ギザギザ」に引っ掛けて回してください。私はこれを使っていますが、先端部分が細くて長いものならどれでも構いません。

レンズを回す際には、一気に回し過ぎないよう注意してください。特に、反時計回りに回しすぎると、レンズが外れてしまうことがあります。外れたレンズを元に戻すのは至難の技です(私にはできません)。少し回して写真を試し撮りして焦点が合っているか確認し、さらにもう少し回す(あるいは戻す)。。。という作業を、気長に繰り返してください。一度に回す角度は30度か45度程度がよいのではないかと思います。とにかく気長にやるのが肝です。

以下3枚の写真の一番上は、デフォルトの焦点で撮ったもの、2番目、3番目はレンズを反時計回りに回して焦点を近くに移動させて撮ったものです。機体の上の字がだんだんはっきり読めるようになっているのが分かると思います。ただし、PCなどの大きな画面で比べないと違いが分かりにくいかもしれません。

被写体がレンズの1cmくらい先くらいまで寄ってきても、焦点を合わせることは可能です。 <!– 焦点の調整には、以下のコマンドで画像をディスプレイに表示させっぱなしにして作業するとよいでしょう。

rapistill -t 0

このようにオプションの-t(タイムアウト)を0とすると、カメラのプレビュー画面で画像を連続表示できます。プレビュー画面はラズパイに直接接続したモニターでないと見られません(VNCなどで接続したリモートのマシンでは見られません)。この場合プレビュー画面を閉じるには、Terminalで「Ctrl + c」します(キーボードの「Ctrl」を押して、それを押したまま「C」のキーを押す)。 –> はっきり言って面倒ですね。。。でも(スマホやデジカメに当たり前に装備されている)オートフォーカスがいかに便利かを噛み締められる良い機会です。ラズパイ・カメラでちまちまと焦点合わせをした後、スマホのカメラがオートフォーカスで一瞬で焦点を合わせるのを見ると腰が砕けます。お子さんと一緒に腰砕けの経験をするのも一興かと。私は自分の子どもと、オートフォーカスがどういう風に動いているか体験し、それがいかに便利かを体感した後、「実は人間の目はもっと偉大な作りになっているのだ」と熱弁を振るう予定だったのですが、腰が砕け過ぎて意気が続きませんでした。。。今後の課題です。