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導体、絶縁体、抵抗、半導体

導体とは

電気を流す(通す)物を導体(conductor)と呼びます。最も身近な導体は金属でしょう。室温で最も電気を流しやすいのは銀で、銅とアルミニウムも室温で電気をよく流します。銀は値段が高いので、電気回路実験でよく使う導体は銅かアルミニウムです。どちらも電気を流すワイヤに使われています。小学校の電気回路実験でよく使うワイヤは銅線で、ブレッドボードに差し込むジャンパーワイヤは銅線か銅とアルミニウムを併用したものです。

絶縁体とは

電気を通さない(非常に通しにくい)物は、絶縁体(insulator)と呼ばれます。不導体とも呼ばれます。気体はだいたい絶縁体で、ガラス、木、紙、プラスチック、ゴム、ビニールなども有名な絶縁体です。銅線やジャンパーワイヤの表面にはエナメルやビニールのような絶縁体が巻いてあって(塗ってあって)、手で触っても安全なように(体に電気が流れないように)作られています。GPIOリファレンスボードは、グラスファイバー(ガラス)製です。

抵抗とは

導体に分類されるものの、金属ほどは電気を流さない物質が炭素(carbon)です。炭素系物質の面白いところは、粘土のような不純物を加えたり、形状を工夫すると、電気の流しにくさ(resistance)を自由に変えることができることです。電気の流しにくさがある一定の水準になるように人為的に作った物体(部品)を、抵抗(resistor)と呼びます。抵抗がどのくらい電気を流しにくいかは「抵抗値」として数値化され、オーム(ohm、Ω)という単位を使います。電気の流しにくさ(resistance)と流しやすさ(conductance)は、表裏一体の関係で、互いに反比例します。

室温であれば、どんな導体も必ず抵抗値を持っています。金属の抵抗値は無視できるほど小さいものですが、ゼロではありません。絶縁体は、非常に高い抵抗値を持っています。抵抗値の観点からすると、抵抗は導体と絶縁体の中間に位置しているといえます。

抵抗値がある程度ある物体に電気を(無理やり)流すと、熱を発して高温になります。例えば、白熱電球の中のフィラメントは、高い抵抗値を持った導体で、電気を流すと高温になり光り始めます。これが家庭で使う電球の光です(「白熱電球(豆電球)とLED」を参照)。

半導体とは

半導体(semiconductor)とは、ある条件では全く(ほとんど)電気を流さないが、別の条件では電気をよく流すような物質のことです。この条件を変化させることで、あるときは絶縁体のように、別のときには導体のように使えるのです。半導体の代表的な例はシリコンやガリウム、ゲルマニウムなどで、ダイオードやトランジスタなどの部品に使われます。

LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)は、ダイオードの一種で、電圧をかけると発光する部品です。LEDに低い電圧をかけても電気をほとんど流さず(まるで絶縁体のように)、光をまったく発しません。ただし、ある一定の電圧を越えると、電気が急に流れ始め(まるで導体のように)、電流の量に応じて発光します。この閾値となる電圧を「順方向電圧(順電圧)」といいます。このように、LEDは電圧の高低を条件に振る舞いを変える半導体部品です。かける電圧を変化させることで、LEDのON/OFFや光の強さを調節できます。

導体と絶縁体の中間に位置するという点において、抵抗と半導体は似通った存在です。しかし、両者はまったく異なる特性・目的を持つ部品です。抵抗が持つ抵抗値は常に一定で、かかる電圧に比例して電流を流します。この比例の(線形の)関係をオームの法則といいます。一方、半導体にオームの法則は当てはまりません。LEDの例でいえば、電圧が順方向電圧に満たなければ絶縁体のように機能し、それを越えると急に電流を流し始めるので、電圧と電流は比例しません。また、順方向電圧を越えると、電圧に対して指数関数的に電流量が上昇します。このように、半導体の抵抗値は一定ではなく、電圧と電流の関係は非線形です

ちなみに、半導体部品を使った回路のことを「電子回路」(electronic circuit)といいます。電気を使う回路全般は「電気回路」(electrical circuit)と呼ばれますが、電子回路は電気回路の特別な種類と位置づけられています(半導体を使っていて、オームの法則が当てはまらないという意味において)。ただし、このワークショップでは、電気回路と電子回路を区別せず、電気回路と呼ぶか、単純に回路と言うことにしています。

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